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元気な高齢社会を創造する会社 〜らくらとお客様が紡ぐ物語〜エピソード7

エピソード7:「ここに来て良かった」 花ごよみ 施設長 中村 つぐみさん

加藤様(仮名・女性)が、花ごよみにご入居されたのは昨年の2月のこと。
それまでは、地元の町立病院で3年ほど入院生活を送っていらっしゃいました。

加藤様の娘様は札幌で暮らしているため、年齢的にも車で約2時間離れた距離にあるその病院へ面会に行くことに、少しずつ不便さを感じはじめていました。

何よりも距離は移動の時間だけではなく、もしも緊急なことが起こったら...という不安も募らせていったのです。
花ごよみへのご入居を希望されたのは、「大切な母に、できるだけ自分の近くで暮らしてほしい」という娘としての切なる願いでもありました。

しかし、加藤様ご本人はご入居することになかなか納得されず、最初のご相談から2年ほどの時間が経過していきました。
加藤様のお気持ちを考えると、まだ一人でも大丈夫なのにという憤りと、いくら娘様がいらっしゃるとはいえ、住み慣れた地域を離れることへの寂しさや、新しい土地での生活に不安を感じるのも当然のことかもしれません。

そんな中、昨年の1月末に初めて加藤様と娘様が、一緒に花ごよみにご見学にいらっしゃいました。

まずは1ヶ月だけお試しでのご入居と、1ヶ月生活をしてみてそれでも合わなかったら地元に戻ることを提案したところ、渋々ではありますが加藤様も了解して下さったため、翌2月にご入居が決定しました。

加藤様は、病院に入院される92歳まで自宅でお一人暮らしをされていました。
家事も自分の身の回りのことも、生活に関することは何でもご自分で行っていたため、他人が介入することにかなり強い拒否感があり、当初は職員がいくら声をかけてもお部屋から出てこない、トイレで体を汚してしまっても「できるから触るな!」と職員に体を触れさせることはおろか、ドアをぴしゃりと閉めてしまうほど。

どんなに心を尽くしても、笑顔を見ることも「ありがとう」という言葉を聞くこともできません。
職員とコミュニケーションを取ることも、打ち解けることも難しい状況が続き、何度も繰り返しおっしゃるのは、「1ヶ月で地元に帰れるんでしょ?」という言葉。帰れる日を指折り待っていたほどです。

固く閉ざされた加藤様の心をなんとか解きほぐしたい、花ごよみでの日々を楽しんでもらいたいと思い、まずは中村さんが毎日朝と夕方にお部屋へ訪問をし、加藤様とじっくり時間をかけて向き合うことにしました。
「来るな!」「顔を出すな!」と強い口調で加藤様に何度言われても、心が折れそうになっても、毎日足を運ぶことで少しでも心の距離を縮めようとしたのです。

その背中を追うように、職員も少しでも会話が続くように話をしたり、1階に下りてお茶を飲もうと誘ったり、加藤様と接する時間が取るよう工夫を重ねていきました。
すると、あんなに「帰れるんでしょ?」とおっしゃっていた加藤様の様子に徐々に変化が表れはじめます。

自分から人と関わりを持つようになり、自らレクリエーションに参加し、他のお客様と一緒にお茶を飲んで過ごすなど、生活の場が次第に広がっていきました。

職員にも大きな声を出すことも減り、自分のできないことは任せてくれるようになったのです。

今では、中村さんがお部屋に顔を出さないと寂しくなるようで、職員に「施設長はどうした?」と気にされるほど。
1ヶ月で地元に帰ることになるかもしれないと半ば諦めていた娘様も、その様子にかなり驚かれ、入居時には予想すらできなかった加藤様の笑顔が「とにかく嬉しい」と安堵の表情を見せて下さいました。

そして、花ごよみという新しいコミュニティとの出会いと、諦めずにとことん向き合う職員との心温かな触れ合いに、加藤様の口から自然と「ここに来て良かった。会えて良かった。」という言葉が出たのです。

お客様が穏やかに笑顔で暮らせるようになることで、ご家族様も、らくらの職員も皆が幸せな気持ちになれます。

人生のセカンドステージにもっと華を!