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元気な高齢社会を創造する会社 〜らくらとお客様が紡ぐ物語〜エピソード6

エピソード6:認知症ケアは諦めないこと らくら拓北 介護リーダー 岡村 裕子 さん

「認知症ケアは決して諦めてはいけない事だと伝えたい」
らくら拓北の介護リーダー岡村さんが、その思いを強くしたお話です。

小林様(仮名・男性)には、以前入居していた施設で「虐待をされていたのではないか」という疑いがありました。
その時の恐怖が今も脳裏に焼き付いているからなのでしょうか、入居した頃は笑うこともなく、認知症の進行から言葉も出せないような状況だったのです。

その後らくら拓北にご入居され、職員に見守られながら穏やかな時間を過ごすうちに、少しずつ小林様の気持ちもほぐれてきたのでしょう。
最近ではご自分からよくお話をして下さり、表情も明るくなり笑顔も増えるようになりました。
それだけではなく、全て介助が必要だった食事もミキサー食から形のある食事に変わり、ご自分で召し上がる日もあるほど。
入居当初の様子が嘘のように、小林様のできることが徐々に増えていったのです。

しかし、職員が伝えたいことが小林様に伝わらない、理解していただけないということも多々ありました。
そのため、職員の多くが他のお客様と一緒に体を動かす体操や、レクリェーションの参加は難しいと考えていたのです。
実際、体操は見ているだけ、レクリェーションは何度か職員と一緒に挑戦するものの、できないことがほとんどという状況でした。

そんな様子が続くある日のこと、岡村さんが最初は小林様の手を取りながらラジオ体操を行い、その後も声掛けをしながら身振り手振りをしてみせると、いくつかの動作を小林様だけで行うことができたのです。
その後の傘を使った玉入れでは、小林様はボールを投げることが理解できていないご様子でしたので、岡村さんは1個目のボールを一緒に投げてみることにします。
すると、2個目からは小林様がご自分で投げ始め、10個あったボールのうち6個も傘に入れることができ、その様子を応援しながら見つめていた他のお客様達も、最後は拍手で我が事のように喜んで下さったのです。

印象的だったのは、小林様ご自身もびっくりした様子で、嬉し涙を浮かべながら微笑んでいらっしゃったこと。
言葉には表せない喜びや感動の気持ちを、小林様の笑顔が物語っていました。
そして、その光景は見つめていた岡村さんの目にも、嬉しさで自然と涙が溢れてきたのです。

岡村さんもらくら拓北の職員も、このような日が来ることを期待しつつ、小林様は体操もレクリェーションもできないものだと半ば諦めていましたが、そうではありませんでした。
お客様の可能性を諦めてはいけないのだと、小林様が身をもって教えて下さったのです。

岡村さんは、このように思っていたことを反省するとともに、これからも「認知症ケアは決して諦めないこと」なのだと伝えていきたい、そう強く思ったのです。

お客様が穏やかに笑顔で暮らせるようになることで、ご家族様も、らくらの職員も皆が幸せな気持ちになれます。

人生のセカンドステージにもっと華を!